ハンゲキフェス 2025
ライブレポート

学生が全力で作り、アーティストが全力で音を出し、フロアが全力で応える…ハンゲキフェスの全力ライブレポート!
3月21日にGORILLA HALL OSAKAにてハンゲキフェス2025が開催された。
「シゲキのない”当たり前の日常”をひっくり返す」をコンセプトに2022年から学生が主体となって運営している本イベント。今年からはFM802DJのハタノユウスケがMCとして参加し、出演者紹介やブースの紹介を行うなどして会場を盛り上げ、春フェスとしてのお祭り感がさらに上がっていた。

①夕方と猫

バンド史上最大の侵略大作戦

オープニングアクトはオーディションを経て出演権を獲得した”日常アウトサイダーポップバンド”・夕方と猫。お馴染みの怪しげで混沌としたSEは、ゴリラホールという大きな会場の照明と共に鳴り響くと、ライブへの期待感を高めさせた。今年の出演者も既に大型フェスでも活躍するロックバンドを含む7組が出演し、オープニングアクトから多くの来場者が集まった。そのアーティスト達が学生主体ならではの純粋で誠実な思いに全力で演奏で応え、そこにさらに全力でオーディエンスも応えたことで生まれた煌めいた熱狂をお伝えする。

4人で音を鳴らし始め、イントロの中、秋宗亮太朗(Vo.Gt)が「夕方と猫始めます!」と叫ぶ頃には既に起こっていた会場からのクラップ。そして「オープニングアクトのバンドが一番カッコいいという反撃を起こしにやってきた!」と一層声を張り上げ、『革命ランデブー』からスタート。小木曽真裕(Ba)もどんどん前に出るなど、1曲目からバンド史上最大キャパでのライブと感じさせないアグレッシブなプレイを見せる4人。それにつられるようにフロアの上げる拳の数も、曲中の掛け声や「ラッタラタラ タララタララー」の声もどんどん増していく。そのまま激しい繋ぎから『どうしたらいい?』へ。不規則に照らす紫と緑の照明が曲のダウナー感をさらに演出する。秋宗の畳み掛ける歌唱だけでなく、身振り手振りでも目を引き付けた。

MCでは前の方へ詰めるアナウンスが必要なくらい集まったフロアへ感謝し、出番前にハタノがやっていてやってみたかったという、「ゴリラホール盛り上がってますかー!」のコールアンドレスポンスを行い、その返ってきた大音量に感激する秋宗と小木曽。そして出演の経緯を話し「このハンゲキフェスに予選オーディションがあって、オープニングアクトがあることにすごく意味を感じています。俺たちは今日下剋上をしに来たんですよ。オープニングアクトのバンドが一番カッコいいライブをしたら最高なんじゃないかと思って、今日ここに立っています。ハンゲキフェスのトッパーであって、大トリやってやろうと思ってます」と宣言。そして「次の曲はみんなでジャンプする曲なんですけど、ゴリラホールジャンプできますか!一番ヤバい特大ジャンプを見せてください。揺らしてください!」と伝え、オカルティックなダンスナンバー『キテレツ』をスタート。サビは八木遥香(Dr)のコーラスも良い味を出していて中毒性があり、秋宗、小木曽、佐野久志(Gt)のフロント3人に合わせて会場もジャンプする。しかし秋宗は「そんなもんか!」と煽ると、ラスサビではさらに何かに取り憑かれたかのように一層激しく会場を揺らした。
秋宗が「ありがとう」と伝え、会場から拍手が起こったのも束の間、八木の力強いドラムソロが始まり、そこにサイレンとアナウンスの音が混じり合って鳴り響く。そのカオスさが高まったところで「バーカになっちゃいな」と秋宗が静かに呟いて『バカになっちゃいな』をスタート。この曲で会場全体が真っ赤に染まった時間は間違いなく本日のハイライトの1つ。そこに佐野の絡み付くようなギターもあって、これはもはや音の洗脳。ただたしかに解放感もあって、危険な心地よさを感じさせた。

最後のMCで秋宗は「ここに立つまでトントン拍子じゃなかった。普通に出演した方がカッコいいとも思ったよ。でも俺の人生も全然トントン拍子じゃなかった。その絶望や苦しみの先に音楽があって、それを知れたからこそ音楽の輝きを知れたと思うし、あなたの苦しみを分かる人間になれたと思うし、届けたい言葉がある人生になった。だから俺はこの人生で良かったと思う。まぁ次はハンゲキフェス本編に呼ばれるバンドになりたいって思ってますけど、今日は今日とて一番カッコいいライブをやって帰りたいと思います。マジであなたの日常をひっくり返したいと思ってるんですよ。あなたの心に夕方と猫っていうバンドを刻んで、反撃の狼煙を上げて帰りたいと思います」と話し、最後の曲のイントロが始まる。そして「さぁ俺たちの革命を!侵略を!反撃を!あんたの日常を彩る日常侵略を」と伝え『日常侵略』へ。最後まで小木曽は前に出てベースを響かせ、佐野のギターソロも決まる。八木も笑顔で力強く爽快な音を出し、何よりフロアがこの日一番のクラップと<バーイ>のハンズアップで会場を埋めた。誰が見ても”ゴリラホール侵略完了”の景色を作り、「苦しくなったら会いに来いよ!」と秋宗が最後に伝え、ライブは終了した。

<セットリスト>
1.革命ランデブー
2.どうしたらいい?
3.キテレツ
4.バカになっちゃいな
5.日常侵略

②終活クラブ

学生の思いに全身全霊で応えた最高の”年度の終活”

盛り上がったリハーサル終わりに、少年あああああ(Vo.Gt)は「出演が決まってから関西でライブがある時は、必ずハンゲキフェスの学生スタッフが来てくれてビラ配りとかしてくれた。学生主体でこういう大きなイベントを作るのは覚悟が必要で、大変だし怖いことでもあるんだな。だからこそ楽しいというのもあるし、こんな思いの強い素敵な場所を作ってくれたハンゲキフェスに最高の景色を見せてやろうぜ!」とフロアに呼びかけると大歓声。もうこの時点で主催者は泣いていたらしい。

そして本編も1曲目『弱パンチで希死念慮』から熱量マックス!少年あああああ、羽茂さん(Key)、石栗(Gt)、中尾佳介(Sup.Ba)のフロント4人はステージを広く使い、中でも羽茂さんと石栗は35分で何度もお立ち台に上がり、会場を動きでプレイで盛り上げていた。少年あああああも1曲目から喉飛びそうなレベル。それに加え「絶対今日を最高の日にしたい!絶対今日を最高の日にしたい!!もっと来いやハンゲキー!!!」と煽り、爆発的な空間を作り上げる。「ハンゲキフェスに超カッコいいギタリストがやってきたぞー!」という紹介され、咆哮しながらのギターソロを石栗が弾いて始まった2曲目は『ハチェットダンス』。1曲目もそうだが、そのライブの熱量とはある意味裏腹なひねくれた諦観や怠惰な愚痴っぽさもある歌詞。そういった曲の世界観を生み出す緩急の部分はファイヤー・バード(Dr)のメリハリのあるドラムが出していることが良く分かる。今日は終始<じゃあいまぶち抜かなくてどうすんだよ>ゾーンに終活クラブは入っていたが、その中でファイヤー・バードの熱もありながら安定感のあるプレイは基盤となっていた。 休む間も無く「ここで皆さんとマイ魔法陣を囲むダンスを踊りたいと思いまーす!」から『マイ魔法陣を囲むダンス』へ。中尾のベースと会場のクラップの合わさりが非常に心地よい。そんな中尾は後半の石栗が哀愁のギターソロを弾いている後ろでとにかく楽しそう。続く『君だったら』は優しい歌い出し。「今日は出会えてよかったよ」という一言も添えて歌われたこの曲は、この春に卒業した学生や、これから新生活を送る人達にも送りたいエモーショナルなミディアムナンバー。少年あああああは歌い終わると「うん、最高。どうもありがとう」と伝え、フロアから温かな拍手が送られた。

学生の思いに全身全霊で応えた最高の”年度の終活”

MCでまず「ハンゲキフェス盛り上がってますかー!」と、こちらもハタノのやっていたことをやる少年あああああ。そして「改めてハンゲキフェス呼んでくれてありがとう。そしてあなたもよくぞ駆けつけてくれた!ようこそー!」と伝え、「この最高のイベントを来てくれたあなたにとっても、ハンゲキフェスのチームにとっても、僕らにとっても最高の日にしたいと思う。難しいことは言わない。バチくそにカッコいいライブをするだけです!」と話して盛り上げる。そして後半戦は『しょうもないなぁ』からスタート。一日中ゲームやインターネットで潰して後悔したことがある人は全員この曲から背中を押されるべきであるし、<インターネットをやめたいです>での会場のあの一体感を見たら、意外とそんな人は多いんだなぁ…とか思ったり。
続いて”パパン パン”のクラップが鳴るとコールアンドレスポンスの時間。「大阪でそろそろバズりたい」という会場からの大合唱から『テレキャス2』へ。間奏では石栗もまとめていた髪を解いてギターを響かせ、羽茂さんのキーボードも彩りを加える。サビでも<オエオエオー>の大合唱が起こり、少年あああああも「最高!」と何度も伝える。続いて「僕達はヒーローではない!ましてや楽勝で勝てるわけでもない!それでも最後はあなたのことを救いにきたぞ!」と『ハイパー005』へ。その言葉に嘘がないのはステージを見たらビシビシと伝わってきて、フロアで飛び跳ねて聴いている男性の目は、幼い時に特撮ヒーローを見ている時のような輝きだった。

学生の思いに全身全霊で応えた最高の”年度の終活”

最後のMCで改めて感謝を伝えた少年あああああ。そして「このハンゲキフェスには今年卒業するという学生スタッフもだいぶいるみたい。これから仕事をしたりして音楽の道から一度外れたりするのはよくあることじゃないか。それでも本当にやってよかったという風に思えるように僕らはちゃんとしたいんだな。だって裏でもそうだし、受付とかもめっちゃ頑張ってたろ?あれ、すげぇカッコいいと思う!4月からあなたもいろいろ環境が変わって不安だろう。でも大丈夫、人生はずっと不安だから。でも生きててよかったと思えるくらい最高な日があるんだな。だから生きていくし、その大切な1日に今日がなれたら嬉しい。今日が終わったとしても大丈夫!あなたの最高はまた来るぜ。だって僕らはずっと音楽をやってるんだから。あなたがいてくれる限りね…また会えるために音楽やるんだわ」
その言葉を送った後の渾身のラストソング『キラーチューン』、そして歌い切った直後に伝えた「まだなんも終わってないぞ。終活クラブでした。ありがとうございました」という言葉が計り知れない勇気を与えたことは、鳴り止まない拍手が証明していた。
そのままカッコよく去れると思ったら、最後に流れるBGMが少しミスったのも彼ららしい。終活は続く。

<セットリスト>
1.弱パンチで希死念慮
2.ハチェットダンス
3.マイ魔法陣を囲むダンス
4.君だったら
5.しょうもないなぁ
6.テレキャス2
7.ハイパー005
8.キラーチューン

③Fish and Lips

あなたの音楽を鳴らし続けた、19歳の挑戦

リハーサル終わりに西村大地(Gt.Vo)が今日初めてフィシュリを見る人をフロアに聞くと、意外にも多数の手が上がった。西村は「めちゃめちゃいいね。みんなファンにさせて帰ります」と宣言。
先に出演した夕方と猫と終活クラブがサウンドや視覚的にも特徴の強いバンドだっただけに、より引き立つシンプルなスリーピースロックバンドの音を1曲目『HERO』から伸びやかに響かせる。登場した際も「俺らCMソングとか、日本中が知るヒットソングとか1曲もないんですけど、あなたの目を見て、あなたのライブ終わりの主題歌を歌いに来ました!」と伝えた西村。初見が多いとは思えないクラップとハンズアップを起こし、曲の持つ浸透力の高さを感じさせ、早くも宣言通りの空気を作る。演奏はもちろん、岩本柊平(Ba.Cho)と岩田雄大(Dr.Cho)のバランスの取れたコーラスもそれを手伝っていた。2曲目は事前にハタノもエピソードを紹介した代表曲の1つ『会いたくなったら』。すっかり大きな会場に似合うナンバーとして成長したことは、3人の堂々とした演奏と豊かな表情から読み取れる。

西村はMCで呼んでもらったことを感謝し、「このフェスのスタッフは俺らとほぼ同い年。自分達も平凡な日常をひっくり返したい気持ちがあるし、皆さんもそういう思いがあると思うので、最高な1日を作り上げたいと思います!」と伝えると拍手が起こる。そして『シンデレララブストーリー』を演奏。力強さはそのままにピンク色の照明も合った優しく包み込むミディアムナンバーを届ける。大きな会場だろうが、初見だろうが、きっちり1人1人のために真摯に歌っているように感じたのは私だけではないだろう。
続いては一転「もう2度と会えなくなってしまった人の歌」というバラード『遥』。そのメロディは恋人に会いにいくために乗っていた電車の情景を思い起こさせる。その時のドキドキに嘘1つもなかったのだろうなと思わせるクリアな気持ちも西村の澄んだ歌声から伝わってくる。どこか春風も頬を撫でたと感じる中、「散々幸せなラブソングを作らせ続けて、その分散々幸せにさせられて、心配だなって今でも思うけど、あの子には俺しかいなかったなって、今でも思うけど、でももう2度と話せないし会えないなって思ったから、最後の最後に最後まで知れなかったあの子の本音を俺なりに想像しながら作った歌」と話し、『本音』を披露。その寂しさと激しさが入り混じるイントロは2人の思い出の走馬灯が急激に駆け巡っているよう。このバラードリレーをフロアも静かに頷きながら、息を呑むように見ていた。『本音』は時に激しいギターやドラムもありながら、最後のアウトロは静かに思い出のアルバムを閉じるように終わったのがドラマチックだった。

最後のMCで「俺たちもみんなと同じように将来の不安があって、いろいろそういうネガティブな気持ちにもなります。なんだけどそういうネガティブがあってこそ、人は進めるんじゃないかと俺は思い立って作った曲」と説明し「俺たちの、自分達の、あなたの音楽が鳴り止まないように」という思いを込めて、最新曲『青春が鳴り止まない』を披露。流した涙が晴れるように青の照明が白に変わる。そして右肩上がりに勢いが増していくバンドサウンドは走り出したくなる。渾身の青春のエールソングがどこまでも響いた。そして大きな拍手の中、「今日の他の出演者をよく調べて、やっぱり俺らより人気のアーティストが多くて、正直なんで今日誘ってもらえたのか分からないんだけど、本当の意味で反撃って言えるのは俺らしかいないって思いました。だからあなたの目を見て、あなたの音楽を歌いたいと思っています。ハンゲキフェスで最後に1曲やりたかった曲をラストにやって終わりたいと思います。本当に今日はありがとうございました!」と話し『青春ロックを歌って』を演奏。最後まで伸びやかに歌い上げ、岩本もお立ち台でベースを響かせる。その結果、1人1人が思い思いの拳を上げるフロアが生まれた。
バンドの中での好きなジャンル的にまだこの19歳のロックバンドに馴染みがなかったり、フィシュリの主戦場である小さなライブハウスのことは詳しくない人も今日は少なくなかったのかもしれないが「青春ロックってやっぱりロックの原点みたいでいいな」と思わせるのには十分なライブだった。

<セットリスト>
1.HERO
2.会いたくなったら
3.シンデレララブストーリー
4.遥
5.本音
6.青春が鳴り止まない
7.青春ロックを歌って

④ネクライトーキー

今のネクライトーキーに隙なし!

リハーサルの際に恐らくビブラスラップ(北上のススメで特徴的なハンバーグ師匠が持ってる楽器)に機材トラブルがあって少し時間がかかっていたものの、そこは朝日(Gt)ともっさ(Vo.Gt)が観客とコミュニケーションを取って繋ぐ。兵庫から来た人もそれなりにいて、加古川出身のもっさ喜ぶ。
始まるやいなやカズマ・タケイ(Dr)のドラムが鳴り響き、朝日が「ファイヤーーー!」と叫んで、『ジャックポットにゃ踊らにゃソンソン』からスタート。<せーの!>と息の合わせた動きからもメジャーデビュー5周年の凄みもあった。どんどん上がるボルテージが上がりきって、最高潮を越えて早くもぐっちゃぐちゃなテンションに。その勢いのままもっさが「ネクライトーキーです!よろしくーー『bloom』!」と次の曲へ。踊るように奏でる中村郁香(Key)の音色に藤田(Ba)とカズマの生み出すリズムがリズミカルなクラップを引き起こす。隙間の隙間までファンキーなポップが充満して、フロア1人1人の頭の上で花が咲きまくる。そして「北、上!」とメンバーが叫んで、こだわったビブラスラップが鳴り響けば『北上のススメ』の合図。今日もメンバーの合わせた首の動きはバッチリ。そして会場のクラップも完全に楽器と変わっている。2番に入ると藤田は勢いよくベースをスイング!もっさの喜怒哀楽が詰まったボーカルは隅っこで見ていたお客さんを飛び跳ねさせる。ラストのポーズもしっかり決まって、一瞬も目を離せない前半戦が終わった。

MCでは興奮状態が伝わるもっさが感謝を伝え、会場から拍手。そんなもっさに朝日が「一体何に反撃するんやろうって言うてましたね?」と聞くと「いつやられたんやろう?と思って笑。寝る時だって隙なんか一個も見せてないのに。いつやられたん?」と答えると会場に笑いが起こる。朝日は「今日は機材トラブルへの反撃をまざまざと見せつけて、皆様に最高のライブをしてみせましょう。よろしくお願いします!」と伝えると、さらに大きな拍手が起こった。そして新EPから『そういうものでしょう?』を披露。落ち着いたサウンドの中で密かに燃えてるものも感じさせて、そこにもっさの気怠けな歌い方も合わせるのが新鮮。そこからの<くたびれて行こう>という歌詞が聴き手にとても心に余裕を与えてくれる曲だ。
次の曲の前にもっさは「みなさんはやられたらやり返しますか?私はやられたらやり返さないタイプなんですけど、胸の内に秘めてね、ガツンと!強かに思っているタイプです。ネクライトーキーなりの反撃を見せましょう!一番真っ直ぐな曲を聴いてください!『ちょうぐにゃぐにゃ』!!!」と叫んだ。朝日も叫び、空間を歪ますギターを鳴らす。無理矢理伸ばされたバネが結局反発して強く飛び出すような楽曲は、特に平日から音楽を聴きに来るようなリスナーには自分の中にもある”ひねくれた純心”と感じただろう。そして轟音が鳴り響く中、朝日が「反撃を見せてくれ!」と叫びながら5カウントを開始。会場全体でカウントダウンし、音のダイナマイトが大爆発して『オシャレ大作戦』へ!ちょっと、いやだいぶイカれたゴリラホールがヘヘイヘイ状態となり、喜びと普段出せない心のヘドがこれでもかと宙を舞って、フロアは笑顔で溢れる。というかネクライトーキーを引っ張ったこの曲はいつ聴いても新鮮で、やっぱり一生飽きないんだろうなと思い、感動すら覚えた。

そして最後ももっさが叫びながら感謝し、『遠吠えサンセット』へ。この時間一番高い位置で大きいクラップが鳴り響く。もうヘドも何もなくなって軽くなったお客さんは急な曲中の緩急にも問題なくついていって盛り上がる。ラスト前にもっさは「みんなの反撃したい気持ちは何かを創るパワーになるかもしれません!みんなも頑張ろうな!最後まで楽しんで帰ってなー!」と叫び伝えた。そして最後の最後までネクライトーキーの音を限界まで振り絞る5人のステージングが何よりも創造力への応援になっていた。
メジャー前からのユーモアと愛嬌はそのままに、ライブでの爆発力がとんでもないことになっているネクライトーキー。あなたの周りの人にもいつもニコニコしている人がいるかもしれないが、胸の内のダイナマイトがどんな状態か察せる人になりたいと思ったし、危なそうなら安全に爆発できるところに連れていこう。ネクライトーキーのライブとかね。

<セットリスト>
1.ジャックポットにゃ踊らにゃソンソン
2.bloom
3.北上のススメ
4.そういうものでしょう?
5.ちょうぐにゃぐにゃ
6.オシャレ大作戦
7.遠吠えサンセット

⑤3markets[ ]

スリマの刺激を浴びに来ないか?

カザマタカフミ(Vo.Gt)が最近よく見る文章の悩み(皮肉か素直かは現場にいた人に任せるとして)を打ち明けた後『社会のゴミカザマタカフミ』からスタート。田村亮(Ba)のベースの音色が流れた時、会場は「いきなりか!」という喜びの空気が流れた。そんな田村と矢矧暁(Gt)も早速お立ち台に乗って演奏しフロアを盛り上げる。フロアだけでなく、2Fで見ていた出演者やハンゲキフェス出演を夢見る若手バンドマン達も多く拳を振っていたのが印象的だった。続いて始まったのは『レモン×』。<他人が怖い><自分がいない>という歌詞によって引き出せれた、普段は内に秘めているネガティブや我慢の感情を拳でぶつけてくるフロアの姿は、まさに何か反撃をしているようだった。休む間も無くmasaton.(Dr)の焦燥感を煽るようなドラムを叩き、クラップも巻き起こる中で『ね。』に突入。カザマの愛猫への気持ちに溢れた楽曲は、まさに猫まっしぐらなサウンドが途中いきなり変わるのが、歌詞のような裏切りと猫の気まぐれを表現しているようだ。

MCではイベントのコンセプトに触れ、カザマは「正直刺激なんていうものは毎日の日常の中に転がってるものなんだよ。気付くか気付かないかだけ…ムカつかないで…ゴメンね」と話し、刺激的なアルペジオと刺激的なリバーブをお願いした後、その例として、とあるもの(念の為ぼかします)を履いてバイトに行ったら世界が変わって見えた話をして『アシタカフミ』へ。MCは会場を笑わせるものだったが、<飽きても飽きても同じことを変えるような今日をずっと探していく>という歌詞は、確かに明日からの日常にスパイスを加えてみようかなと思わせてくれた。少しゆったりとした空気になったが、ここで彼らなりのダンスナンバーと言えるだろう『ムリ(笑)』へ。軽快なサウンドに眩い照明、カザマの体全身を使った全力の動きも手伝って開放的な雰囲気を作り上げた。
カザマは「あー刺激だ」と呟き、「今から刺激的な曲をやるから動画撮ってもいいよ」と言うと、スマホをかざし始めるフロア。「刺激というものは最近SNSとかで簡単に手に入るになっていると思うんですよ。刺激を得ようと思ったらすぐに手に入るじゃないですか?それでいいのか?誰かが作った刺激を簡単に自分の刺激に置き換えて、そんなんでお前らの人生本当に満足か?俺はそう思った時、AV見るのをやめたんだ。1ヶ月やめてみると世界はこんなに綺麗だって…シゲキのゲキはハンゲキのゲキ、攻撃のゲキ…ヤバい、オチがない。『F××K TikTok』!」といこうとするが曲入りをミス。慌てながらも「こういう失敗を全世界に晒されるのも刺激になるからよ。生きてるって感じがするぜ…笑」と改めて『F××K TikTok』へ。ちなみにその後もカザマのハンドマイクのコードがスタンドに絡みまくっていた。ただ彼らこその切り口のチルと衝動が混じった曲に画面を見ているだけでは出されないドーパミンが会場に溢れた。そして堰を切ったように4ピースロックバンドの強烈にクールなサウンドが!田村、矢矧、masaton.のセッションに会場も力強く反応し、ラストの『整形大賛成』へ。きっと人生で反撃をするのに、まず必要になる”自分を尊重する”気持ちを掻き立ててくれる。

そして曲中にカザマは「今日はありがとうございます。2年連続出演させてもらえているのは俺らだけなんですよ。来年もよかったらまた出たいと思ってます。今日刺激が足りなかった人は5月22日に梅田CLUB QUATTROでワンマンライブします。今日の10倍刺激くれてやるよ」と伝え、ラストはさらに一段ギアを上げて演奏しきり、フロアは拍手とガッツポーズで溢れた。
スリマの持つ独特な空気感と、このハンゲキフェスの相性は不思議とマッチしている。ブレない反骨心のある歌詞だけでなく、長い間諦めずロックバンドとして活動し、昨年ついにメジャーデビューまでたどり着いたその姿は、学生にとってもエネルギーとなっているし、希望になっているだろう。年齢関係なく鬱屈とした気持ちを何とかしたい時、3markets[ ]だけには「わかるわかる」と言ってもらいたい。

<セットリスト>
1.社会のゴミカザマタカフミ
2.レモン×
3.ね。
4.アシタカフミ
5.ムリ(笑)
6.F××K TikTok
7.整形大賛成

⑥NOMELON NOLEMON

愛すべき大阪でカラフルにバチバチとぶつかり合う

ハタノから全曲撮影OKという告知がされ湧き立つフロア。そしてSEも冒険に連れていってくれるようなサウンドでワクワクが加速していき、フロアはたまらなさを蓄えたクラップでみきまりあ(Vo.Gt)、ツミキ(Gt)、アヤコノ(Sup.Ba)、HISASHI(Sup.Dr)を迎える。
1曲目『SUGAR』から見せたのは、もちろんカラフルに彩る同期もあるが、それ以上に4ピースバンドの持つゴリゴリとした生のグルーヴ。そこにフロアからの力強い掛け声も合わさって、弾けるような爽快感が会場を包む。続いてツミキの「手拍子いけますか?上で!いいね!」という問いかけから始まったのは『ハイド・アンド・シーク』。ビビッドにオシャレでユニークなサウンドに乗せて、ステージをモデルショーのように歩きながらキュートに歌うみきまりあによって、ゴリラホールが原宿に見えてきた。サビで手を横に振ったり、「ラリラリラー」の合唱するたびに、ノーメロにメロメロになっていくフロア。

MCでは感謝を伝えた後、みきまりあは「大阪で食べたたこ焼きの塩味が革命的に美味しすぎてお腹空いてきたな…もう!お腹空きすぎて!(囁くように)どうにかなっちゃいそう」と言って『どうにかなっちゃいそう!』へ。めくるめく展開を見せる色気のあるサウンドに加え、ステージ上のステップや、ツミキとアヤコノが音をぶつけ合って高めあう姿に、フロアも昇天気味。そこからツキミが「まだまだいけますか!」と確かめて始まったのは、彼自身もボーカルを務めるツインボーカル曲『ダダ』。この辺からもうステージに向けられるスマホがパパラッチのカメラのように見えたのは、撮られる側のスター性を完全に全員が感じ取っていたからだろう。そんなみきまりあは一層熱いテンションで「まだまだいけますか!反撃してこいよ!いけるか大阪!いくぜ!『INAZMA』!」と叫び、その曲名に違わない思わず反射的にビビッとくるようなバンドサウンドを鳴らしていく。今日の出演者の中で唯一のユニットが<ロックンロールの正体>を轟かせる。己が自信の持つスタイルで36℃の人間がぶつかり合えばロックンロールが生まれることを、みきまりあの収まらない熱を持ったボーカルとツミキのギターソロが証明していた。

続くMCでツミキはハンゲキフェス主催者と話したことを伝える。「今日の売り上げの一部を未来のライブスタッフの人材育成のために寄付するという話を聞いて、すごいカッコいいイベントだなと思って。今日のライブで未来の音楽シーンに対して還元できたような気がして、その輪に入れて光栄に思いますし、今日来てくださった皆さんのおかげでその還元ができていると思って、いろんなありがとうの気持ちがいっぱいで演奏しています。本当にありがとうございます。6月22日に東京でワンマンライブも開催します。このハンゲキフェスに負けないようなイベントにしますので、よろしくお願いします」と感謝を伝え、拍手が起こる。「ここから後半戦も目で耳で体で楽しんでもらえたらと思います。我々の渾身の最新作を聴いてください」と告げ『ミッドナイト・リフレクション』へ。重厚ながらも宇宙空間にダイブしたような浮遊感があるサウンドが体の奥深くまで染み渡る。漆黒かつ澄んだ空気が生み出す高揚感はゴリラホールの屋根を吹っ飛ばしていた。ここから『水光接天』というアニメ主題歌リレー。ガンダムとるろうに剣心なので全く世界は別物だが、どちらも夜に願いを込めて切ない爆音を放つ歌。同じ星空の下で繋がっているのかと思ったし、有限の命の美しさを照らすようだった。
最後にみきまりあからも感謝と「大阪はツミキさんの故郷でもあり、ノーメロが結成初ライブをした私にとっても大切な場所。またパワーアップして大阪に帰ってきます!」と約束し、『night draw』、そして「みんなで歌って帰ろう!」と『SAYONARA MAYBE』と繋げた。最後はHISASHIも椅子に立ち上がってドラムを叩くし、ツミキとアヤコノから余すことなく放出する。キュートさとエモーショナルを持ち合わせたみきまりあのボーカル、そして最後までクラップもコールアンドレスポンスも手を抜かないフロア。サポート含めて個人でも活動する音楽家4人とフロアが真正面からぶつかり合う。これがNOMELON NOLEMONのライブ空間だと全員の心に刻みつけた。

<セットリスト>
1.SUGAR
2.ハイド・アンド・シーク
3.どうにかなっちゃいそう!
4.ダダ
5.INAZMA
6.ミッドナイト・リフレクション
7.水光接天
8.night draw
9.SAYONARA MAYBE

⑦Conton Candy

最高のハンゲキフェスの最高のラストピース

このイベントのトリを務めるのは、全員22歳のスリーピースロックバンド・Conton Candy。リハーサルから紬衣(Vo.Gt)の伸びやかな歌声に驚くフロア。今日も朝イチからハイエースで東京からやって来た、根っからのライブバンドが同年代が作るロックフェスを締める。
3人が笑顔で揃って登場して礼をした後、紬衣から「みんな今日良い日だった?もっともっと良い日にしましょう」という言葉を送り『相槌』からスタート。静かなギターの弾き語りから、力強いロックに切り替わる。拳が上がり、センターに出てベースを響かす楓華(Ba.Cho)もニッコリ。そしてエモーショナルなギターの弾き回しから『ロングスカートは靡いて』へ。曲のストーリーを噛み締めるように歌う紬衣のボーカル、楓華と彩楓(Dr.Cho)のコーラス。それはまた会場のクラップも同じで、全体で心に迫るハーモニーを生む。そして紬衣の「いけるかハンゲキフェス!」の合図からサビに突入すると、一気に盛り上がりが加速!歌詞中に出てくる自転車の風が、2025年春の夜風となってゴリラホールに吹き荒れるのを確かに感じた。この自転車の爆走感を出しているのは彩楓のどこまでも突き進むようなパワフルなドラムだろう。この余韻もある中、今年1月にリリースした『普通』へ。アニメ主題歌となったこの曲は歌い出しから会場の空気を変えていて、そして紬衣が手を広げながら歌う姿から生まれる何でも受け止めてくれるだろう安心感もあって、また彼女達が長く愛されるに違いないキラーチューンを生んだことが分かった。

MCでは紬衣が「今日は皆さん、沢山音楽に攻撃されました?反撃できてます?」と心配(?)しつつ、ここまでバトンを繋いだ出演者と最後まで残ってくれたお客さんに感謝を伝える。「曲もいっぱい持って来ました。高校で結成して、しっかりライブハウスで地に足つけて活動しています。前回の大阪もゴリラホールだったんですけど(2/10)、運命的なものを感じていて、2回連続で出演するということは「この短期間でどれくらい成長したのよ?」と言われているようで、しかもトリも任せてもらって、やるしかないなと思ってここに立ってます。ということで新曲持って来ました」と話し『恋』を披露。繊細さもある優しい曲はゴリラホールの紫の照明とも合っていて、柔らかくリラックスした空気が流れた。温かな拍手が送られる中、双子のリズム隊が息の合ったビートを鳴らして、『ファジーネーブル』へ。一瞬で会場のみならず、情景をもオレンジ色に染めるだけじゃなく、その甘酸っぱさまで伝わる。「歌える?」と聴けば、しっかり合唱が巻き起こっていて、この曲も賞味期限は無限だと思わせた。

最後のMCで紬衣が「私たちはさっき車で着いたばかりだから、今日がどんな1日だったのか、皆がどんなライブを見てきたのか、私達は分からないままステージに立ったけど、皆の表情が、笑顔が、拳が答えだった気がします。今日めちゃめちゃ最高の日だったみたいですね!」と話すと、会場からその答え合わせと言わんばかりの歓声と拍手が起こる。そして「ハンゲキフェス、今日沢山アーティストが音楽で追撃して、皆がそれに応えるように反撃して、めちゃめちゃライブハウスっぽい企画だなと思います!そしてこのゴリラホールでできること、トリが任してもらえること、当たり前だと思わない。ボロボロになるまでお互いが追撃して、反撃し返してきてください」と伝えて、『102号室』『爪』『好きなものは手のひらの中』を完全追撃特化のライブハウスモードで駆け抜ける!「めちゃめちゃになろうぜ、ハンゲキフェス!」「来い来い来ーい!」「まだまだいけるかーい!」と声と演奏で煽る3人に、フロアが夕方と猫から変わらずその拳と表情で反撃していたことが3人に伝わっていたのが分かった。
バイラルヒットやタイアップで知った人にも、全国のライブハウスでそれこそ対バンに反撃して、反撃されながら鍛え上げられた彼女達だからこそ「ロックバンドはここライブハウスで一番カッコよくなきゃ意味がない!」という言葉が出たことが分かっただろう。そしてその言葉を体現した3人とフロアの熱。この高い熱気のままハンゲキフェス2025は幕を閉じた。

<セットリスト>
1.相槌
2.ロングスカートは靡いて
3.普通
4.恋
5.ファジーネーブル
6.102号室
7.爪
8.好きなものは手のひらの中

全アクト終了後、ハタノからハンゲキフェス2026の開催決定がフロアに報告されると大きな拍手が起こった。次なる舞台はなんばHatch。日程は少し前倒しして2026年2月28日(土)に開催される。次はどのようなハンゲキが見れるのだろうか。そしてこの素晴らしいイベントを作り上げた先輩のバトンを受け継ぐ、新たな学生との出会いも心から待っている。